ギャラリー_29. 遠藤征志 源氏物語54帖の響 〜京の舞~千年の時を繋ぐ(昼の部)
ギャラリー_30. 遠藤征志 源氏物語54帖の響 ~京の舞~千年の時を繋ぐ(夜の部)
千年の昔、紫式部の筆により生み出された『源氏物語』は、光源氏を中心とした人々の愛と苦悩、栄華と無常を、
きらめくような言葉で綴った、世界に誇る長編恋愛文学です。それは単なる恋愛小説にとどまらずその深淵な物語は、時を越え、
現代に生きる私たちの心にも静かに響き続けています。
そして今回、その『源氏物語』の物語世界が繰り広げられた“まさにその地”――千年の都・京都。
さらにその中心、王朝文化の象徴である京都御所のほど近くに佇む、由緒ある金剛能楽堂を舞台に選んだことは、
物語と舞台芸術とが深く共鳴する、極めて象徴的な意味を持ちます。
この歴史の重みと気配が息づく空間にて、遠藤征志の音楽がいま、源氏の記憶とともに響き渡りました。
作曲家・ピアニストの遠藤征志は、8年という歳月をかけ、全54帖に寄り添うかたちで全57曲を作曲。
『源氏物語』の情景や登場人物の心情を、音楽という普遍の言語で表現し、文字の物語を“音”で再生する試みに挑みました。
今回の舞台では、遠藤の音楽に加え、
宝生流シテ方能楽師・辰巳満次郎による幽玄なる舞、
俳優・篠井英介による繊細かつ深みある語り、
作家・角田光代による作品世界への案内が重なり合い、
さらに若き弦楽四重奏団が豊かな彩りを添えることで、
『源氏物語』の雅なる世界が立体的に浮かび上がりました。
弦楽四重奏:
第1ヴァイオリン 若旅菜穂子
第2ヴァイオリン 河合晃太
ヴィオラ 松宮茉希
チェロ 大岩直季(リーダー)
舞台を彩る美意識は細部にまで及び、衣装は時廣真吾、ヘアーメイクは佐藤聖子が担当。
総合プロデュースは赤在依美が務め、各界の才能が結集し、千年の時空を超える“音の物語”を創り上げました。
平安の雅と現代の感性が響き合った、あの幻想的な一日。
京都御所を目前に臨むこの特別な空間でこそ実現した、かけがえのないひとときの記録を、写真としてホームページにて公開しております。
どうぞ、美しく繊細なその瞬間の数々をご覧ください。